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散文

誕生日

2023.04.28

結局今年の誕生日は陶芸をして蕎麦を食べて、少し仕事して、夜は映画を観て過ごした。
天気もこの上なくよくて、心が底から気分が良く、『気分がいい』の概念が固まったような気さえした。


大好きな人たちと久しぶりに連絡が取れたり、このままだと締め切りに間に合わないかもと思ってたらポコっと予定がズレることになって間に合う兆しがキラリと光ったり、美味しいお蕎麦に出会えたり、自分史上最高傑作の器を作陶できたり、満開の八重桜に会えたり、面白い映画に出会えたり、ストレッチがうまくいって体が軽くなったり、次に入る作品の台本が面白かったり。

誕生日からはもう数日経っているのですが、
誕生日、
そして次の日、
そのまた次の日も…
なんだか示し合わせたように、ラッキーなことばかりが続いている。


過去に、とにかくたくさんの人に「おめでとう」と言われることが、多幸感に直結していた時期がある。
矢継ぎ早に「おめでとう」と言われて、もはや誰に言われたかも覚えてないくらいのスター状態に憧れた。
ありがたいことにそんな年もあった気がする。

今は、誰がどんなふうに伝えてくれたかを覚えていられる方が幸せになってきた。
仕事場でお祝いしていただくのは嬉しいけれど、「皆様お忙しいだろうに申し訳ない」という気持ちがどうしたって先に立つ。

そういう意味でも今年は誕生日は完璧だった。
現場自体はお休みだったので、ホッとしながら一日を終えた。
陶芸をやる窯場のおじいちゃん先生には「そんなことを言い出すには若い」と言われたけれど、今年はこれが百点満点の誕生日。

そんな陶芸のおじいちゃん先生は、私が誕生日だと知って、いつもよりたくさん種類が入っているお煎餅の小袋を、何かのついでみたいにホイッとくれた。
それから「スキップとローファー」がとにかく面白かった、とたんまり褒めてくれた。

これが最高のお誕生日プレゼントだったかも。
今年79歳になるおじいちゃん先生の今期アニメのお気に入りは「スキップとローファー」と「僕の心のヤバいやつ」なのだという。ありがたきかな愛おしきかな、です。



前日に開催させていただいたライブ『kioku  tadori te 2023』も、しっかりひとりひとりとあの空間を丁寧に交換できた気がして、それもまたまんぞくだったししあわせだった。
来年もやろうとは現状思っていないのですが、いつかまたこんな機会があったならまたひとつずつ、丁寧にあの時空間を綴り込めたいなと思っています。




この文章が皆様の元に届くのは4月末の朗読劇も全部しっかり終演した頃になるでしょう。
そして次の作品たちに向き合いを変えていることでしょう。
27歳の一年もたくさんの楽しい景色に出会えるように、豊かに、そしてひっそりと、大切に向き合っていこうと思います。


燦々たる日々爛漫に
明日も良い日になりますように

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