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散文

2日目

2023.05.29

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引き続き京旅行のお話しです。


夜が明けて2日目は、HAHAHOUSEのacoさんにお会いしました。
Instagramには投稿したのですが、面会はace hotel kyotoでのタコスランチとなりました。


酸味と辛味に見守られながら、柔らかく包まれてすすむ、わたしたちのハジメマシテ。

ハジメマシテ。
なのに、
この方が作られたお茶にこの一年がっちりと支え続けられたんだなぁと思うと不思議な気持ちで、香りや風味から感じていたほのかなacoさんのカケラをacoさんに照らし合わせて、新たなカケラを手繰り寄せて、答え合わせをしていくような時間だった。


初めて出会えたacoさんは思っていた通り柔らかく強い人で、思っていたよりももっとずっと深い人でした。



仕事は生き方だと思う、とお話ししてくれたacoさん。仕事には、生き様がでるよね、と。



お話ししながら、はじめて会うの、はじめて会ったような気がしてないことに気がついて、どうしてだろうと考えていた。

acoさんが作る漢方茶は、重なりが深いのにえぐみがなくて、飲んだ後は息がしやすい。
この人が生み出したんだ、って、だからあんなに美味しいんだって思う。

この空気を、知っている。
どこで知ったんだろう。
そうか。
acoさんの漢方茶は、acoさんが手元で重ね合わせた漢方茶がその空気ごと袋の中に綴じ込められて、私たちがその封を切ると、場所も時間も超えて直接空気を嗅いでいたんだ。
漢方茶の封を開けた私はもうそのときに、acoさんとは会っていたんだ、と、気がつきました。
そんな気がしました。


すごい仕事だ、とおもう。
acoさんと私たち使用者の間には何ひとつ隔たりがなく、真っ直ぐそのまま届いているのだということを、そんな仕事もあることを、改めて思い知る。

私の仕事にはたくさんのレイヤーがあって、私ですら私の仕事がどう作品に影響しているかわからなかったりもする。
きっとどこかには、仕事や生き様が滲んでしまっていくのだろうな。滲んでくれているといいな、と願う。

「滲む」は、最近の私のキーワードになっていて、どうやったら「滲むもの」が手に入るだろうと漠然と考えたりなぞする日があった。
迷いもあったんだと思う。


最近新しい現場がまた続々と始まっていて、新しい出会いがある。
煌めく瞳の同世代に会うと、ハッとさせられる瞬間があり、背筋が凍る。
「仕事には生き方が出る。」
いつの間にかわたしは、ずっと大切にしてきた、しのぶさんの言葉を少しおろそかにしていたのかもしれない。
いや、むしろ、この言葉を盾にして、自分を守りすぎていたのかもしれない。
傷つくことが仕事である仕事をしていることを、今一度思い出す必要がある。
この思考の堂々巡りはこの短い人生の中で一体何周目なのだろう。
果てはあるのだろうか。




acoさんとのハジメマシテは、私にたくさんの問いを残してくれる、とても豊かで素晴らしい時空だった。叶うことならまた近くにお会いしたいと願う。
京都は少し遠いけれど、今年は私にとってまた、近い街になるはずだと思うから。


みつみちゃんが「土地の記憶は人の記憶だ」と言っていたけれど、まんまとその通りで。
京都という街がacoさんという人に出会ってさらに豊かにさらに深く、さらに大切なものになっていく感覚がありました。
一度しか会っていないのにこんなふうに思ってしまうのは、大袈裟なことでしょうか。


でも、「抗えない出会い」には人生の節目節目で必ず出会うように、私は思うのです。
一度大好きになって、その後は、辛すぎる記憶から、少し距離を置いていた京都。
黄前久美子が迫る今、acoさんと出会った今、あらためて京都という街は、私にとってどんな場所になっていくのでしょうか。



ひとつひとつを噛み締めて、ひとつひとつを抱きしめて、ゆっくりコトコト煮詰めたいです。



燦々たる日々爛漫に
明日も良い日でありますように

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