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散文

西側の夜

2023.09.29

西側に行くのはほとんど初めてに近いことだった。

年齢も全然違う5人の女が喫茶店で待ち合わせて、夕食を食べて、また喫茶店にもどる。閉店時間がやってきたので公園に移動して、3か所蚊に刺されるまでダラダラとおしゃべりを続けた。
「青春みたい」みたいな一言で片付けたくないような、鈍く輝く西側の夜。

なんか映画みたい。5人の女とか言ってるけど、私が1番若者で、下っ端で。なので私が「5人の女」とか言っていい立場じゃないんだけど。それでもなんだかあの夜は、「5人の女」でしかなくて。大先輩だ、と、尊敬してるけど、尊敬というか、敬愛というか。人として大好きで、素敵で。甘えてます。甘えた言い方です。

ああ、ずっとあの夜が続けばよかったなぁ~なんて、本気で思ってしまうような素敵な女子会でした。わたしたちはもう、女子と呼べる歳ではないけれど。それでもいいの。女子と呼ぶの。
若いのに落ち着きのある青年が自分のことを「おじいちゃん」というのと同じように、照れ臭さと誇りを胸に、わたしは私たちを「女子」と呼ぶのです。


「喫茶店」


久しぶりに行ったのですが、なんですかあの幸せな空間!ほんとうに!すごいですね!!!
珈琲(コーヒーではなく珈琲ってかんじ)の香りが充満している店内。
厨房の脇を通るとふんわり香るバターとケチャップの香り。
隣の席のオムライス。
向こうの席のピザパン。
私たちのアイスコーヒー。
あなたの頬張るキャロットケーキ。


なんて幸せなんでしょうか。
ああ、喫茶店で働きたい。
喫茶店で雇ってくれませんか。


最近はご飯を提供する全てに対してのリスペクトがあまりにすごいです。
本気で働きたいと、求人サイトをのぞいちゃうレベル。
あ、あと、夜中になるととにかく見ちゃうのが「パン屋さんの仕込み動画」です。
パン屋さんにも憧れちゃって。
朝の3時とかから仕込み初めて7時頃には開店する、あの動画たちを、夜になるととにかく見たくなっちゃう。しかもながら見とかじゃなくて結構しっかりがっつり見ちゃいます。それがもうあまりにも気持ちよくて。
ああ、パンをこねたい。
食べたいわけじゃないんです。
とにかくこねたいんです。
先日ついに強力粉とドライイーストもゲットしました。わたしがパンをこねる日はもうすぐそこかもしれません。


みんな忙しい方ばかりだから、なかなか叶わないかもしれないけれど、もしまたあの夜に出会えたら、聞きたい話がたくさんあります。
今すでにたくさんあるし、なんなら今この瞬間もどんどん増えていってます。

この前あずささんと遊んだ時(ジブリ美術館)もそうだったのだけれど、会ってる時は出てこないのに、バイバイの後に出てくる「聞きたかった質問」が多すぎるのは一体なんで??
久しぶりに甘やかな後悔。
この甘やかな後悔の密やかな痛みが久しぶりで、ちょっと愛おしい。おかしいかな。愛おしいです。
こんな素敵な痛みをくれた素敵な出会いに、爆発的感謝をしよう。




西側の夜、喫茶店、誇りが煌めく女たち。
私の幸せ詰め合わせなおはなしでした。
燦々たる日々爛漫に明日も良い日になりますように

(えー!もう8月終わっちゃうのー!やばーい!)

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